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火と水の都、そこに暮らす人々に学ぶ

雲仙

島原半島を見守る雲仙

博多から特急に乗り換え有明海を左手に、電車は走っている。佐賀を過ぎたあたりで景色が変わる。海の向こうに見えてくる雲仙のためだ。穏やかな有明海から、空を突き破るように聳える雲仙は、火山独特の孤高な威厳に満ち満ちている。雲仙普賢岳は1990年から6年にわたり噴火を繰り返したが、今は活動は静止している。火砕流と土石流が民家を次々と飲み込んだ映像は、まだ記憶に新しい。

島原城
島原城

武家屋敷が今もそのままに
保存された町並み


雲仙のふもとの島原半島は、歴史の香る美しい城下町であった。湧き水が豊富な島原の町は、道の堀のいたるところに鯉が泳いでいる。
涅槃像
全身8.6m、日本最大級の涅槃像
鯉

水屋敷

毎秒50リットルもの水が湧く水屋敷。
オーナーが趣味で集めた招き猫コレクションも
無料で見られる。


博商店街の一角の「水屋敷」という古民家を利用した喫茶スペースにお邪魔して休憩。その名のとおり、庭には水が満面にたたえられている。庭に池があるというより、水の中に家が立っていると言ったほうが正しい。
寒ざらし

島原名物、寒ざらし


惜しげもなく湧き出る澄んだ水を眺めながら、島原名物「寒ざらし」(もちもちした白玉がさっぱりとした甘いたれに浮かんでいる、非常に美味)をいただいていると、ここがあの災害にあった町であるということをすっかり忘れて、心が安らかになっていくのを感じる。

島原の人々は、災害についてあまり多くを語らない。その強く優しく飄々とした姿勢からは、どれほどの傷跡を今なお抱えているのかを読み取ることは難しい。ただひとつだけはっきりと感じたのは、彼らは大自然の猛威、そして恵みの中でひたすらに謙虚に、日々の営みを続けている。火と水の町、島原。ここでは人間の存在は小さくならざるをえないのかもしれない。しかしそれこそが、自然と共に生きる、ということの本来の美しい姿なのかもしれない。